うどんのルーツ 餺飥(はくたく)うどん

今回は、うどんのルーツといわれる 餺飥うどんのお話です。

昔の人々が食していた「餺飥うどん」は、うどんの元祖ともいわれ、小麦粉に米粉や山芋の粉などを混ぜた平麺に、醤(ひしお)をつけて食べていたようです。

はくたくうどん
はくたくうどん と ひしお

醤(ひしお)とは、醤油のルーツと云われる古代の発酵食品で、時間をかけて発酵させることによってできる「旨味」があり、それが醤油へと発展して受け継がれてきたようです。
平城京時代の資料では、新嘗祭宴会の雑給として食料が支給された際、「醤」は、貴族(5位以上)には支給があっても、下級官人(6位以下)にはないなど、上流階級の方が召し上がる貴重な調味料だったようです。(注1)

餺飥うどんは、春日大社のご神饌に供されていたことが文献に残っているほか、右大臣藤原実資の日記『小右記』に、一条天皇の春日大社行幸(989年)の折、春日大社での饗宴の場で、20人の「餺飥女」(はくたくめ)が音曲に合わせて餺飥を打ったとの記載が残っています。(注2)

御所車
御所車

ところで、一条天皇のお話をすると・・・・
春日大社行幸の際は10歳でしたが、後に皇后に定子、中宮に彰子を迎えられた天皇です。
定子・彰子のお名前でお気づきの方も多いかと思いますが、一条天皇の在位期間は、皇后定子にお仕えした清少納言の「枕草子」、中宮彰子にお仕えした紫式部の「源氏物語」に代表されるように、女流文学が栄えた、平安時代でも一番華やかな時代です。

十二単衣
十二単衣

また、前述の 右大臣藤原実資 「小右記」 には、一条天皇が頭痛で大変な時、安倍清明に見立ててもらったとの記述もあり、遠い時代のお話ですが、一度は耳にしたことがある方のお名前が多く出てくる時代です。

この頃の、王朝貴族の間では、寺社参詣が盛んだったようです。勢力をふるった藤原道長など多くの権力者が、奈良の春日大社をはじめ寺社仏閣に参詣されています。
もしかしたら、歴史の教科書に載っている方々が はくたくうどんを、召し上がっていたかもしれませんね。
奈良観光にお越しの際は、ぜひ歴史ある「はくたくうどん」を土産話の一つとして、召し上がってみてはいかがでしょうか?

弊社グループでは、「はくたくうどん」をコシとモチモチ感のある麺にし、醤だけでなく、のっぺ汁で食べていただくなど現代風にアレンジいたしました。

下記店舗でお召し上がりいただけますので、ご利用ください。
大和風料理 永楽(菊一文珠四郎包永本店内)

    春日餺飥(はくたく)うどんと永楽膳のセット

はくたく 春日永楽膳
はくたく 春日永楽膳

・団体のお客様専用・事前予約が必要です。
・詳しいメニュー内容等は 大和風料理 永楽HP

☆本店では、「はくたく麺」を販売しています。お立ち寄りの際はぜひどうぞ!!

ならや 東大寺店(夢風ひろば内)

はくたくうどん膳

はくたくうどんと釜飯
はくたくうどんと釜飯

・釜飯とセットです。醤(ひしお)ではなく、のっぺ汁をつけてお召し上がりください。
・ご予約なしでお食事していただけます。営業時間10:00~17:30
・お店の様子や地図などはならや東大寺店HPで


菊一 はくたく関連ブログ一覧
◆ 菊一でテレビ撮影が行われました。その3 テレビ朝日「歴史街道スペシャル」 (9月12日付)
◆ 春日はくたくうどんの試作・試食会を行いました (2月17日付)
◆ 「モダン春日はくたく女の舞」が披露されました  (2月16日付)


参考文献
(注1)古代の都2 「平城京の時代」 株式会社吉川弘文館 編 田辺征夫、佐藤 信
(注2)現代語訳小右記 2 道長政権の成立 株式会社吉川弘文館 編 倉本 一宏